まやのゆりがたり・一人称百合音声編
対象作品
ここで紹介する作品は、原則として、以下のすべての条件を満たすものです。
これをかみ砕くと、一人称視点作品であり、性行為描写がなく、ドラマ(複数の人物のやりとりがあるもの)を「壁になって」楽しむものではなく、また、視点人物と登場人物が共に女性である可能性があるものです。このような作品形式を本ページでは「一人称百合」と呼称したいと思います。私の場合視点人物に感情移入したいので、ボイスドラマ作品は本ページの対象外です。
なお、作中の描写から視点人物が女性である可能性が否定できないとは、「〜くん」、「お兄さん」など、男性に対して用いられることが多いであろう呼びかけを使っていないことなどを満たしていることです。
また、ここで紹介する作品は、ASMR作品に限りません。触られているような感覚を覚える音響効果を持つものをASMR作品とお考えください。
趣旨説明・概説
このページは、まやが百合として楽しんでいる音声作品のなかでも特におすすめのものを紹介するものです。
世には数多の音声作品が溢れていますが、そのほとんどは男性向けの、(おそらく)異性愛設定のものです。この時点で百合作品は既にマイノリティです。女性向けの異性愛作品(登場人物が男性のもの)やBL作品についてはまやは詳しくありませんが、百合作品は音声作品全体の中で圧倒的にマイノリティであることは確かです。さらに「百合」として販売されている作品のなかにも、ボイスドラマ作品やTS百合といった、女性が感情移入して聞くにはハードルが高い作品が相当数あります。ドラマはともかく、そもそも女性が聞くならTSという要素を入れる必要がないので、これは完全に男性向けの百合作品と言えそうです。さらに、R18でない作品、すなわち性行為の描写のない作品は圧倒的に少数です。百合音声作品の希少性については、いずれ別記事で取扱う予定です。
以上の趣旨を踏まえ、このページでは個々の作品について、以下の観点から紹介します。
このようななかで、一人称百合として楽しめる作品を世の人々に共有し、それらの作品へ注目を集め、一人称百合作品を少しでも増やすため、このページは存在します。
……まやが布教したいだけともいう。
作品紹介
・澪菜さんは甘やかしたい 〜隣に住んでるお姉さんに看病される話〜
DLsite・サークル:SukeraSono
・公認性:公認
・自分の立場:ひとり暮らしの大学生
・相手との関係性:年上の隣人・社会人のお姉さん
・コメント:安齋由香里さんがCVを務めている作品です。安齋由香里さんと百合というと、私は『RELEASE THE SPYCE』が思い浮かぶのですが、皆さんもそうですよね?もし思い浮かばない方は次の段落へどうぞ。思い浮かぶ方は、さあ、大人になって少しおしとやかになったモモに看病されているシーンを思い浮かべてください。ですが、師匠との関係を邪魔することを心配する必要はありません。あなたの隣にいるのはモモではなく、澪菜さんです。
視点人物がなりたての大学生、相手が6歳も離れて24歳のお姉さん、夕食をほとんど共にしているのに、形式的にはまだ隣人でしかない。でも自分の部屋の合鍵を持っているので、朝起きた時、具合が悪いとスマホで伝えたら、自分がベッドから降りるまでもなくそばまで来てくれるかもしれない。私は彼女にすべてを委ねられるし、そうしたい。……そんな存在が欲しくない人がいるんですか?みんな欲しいですよね?じゃあ買いましょう。
ちなみに、2023年に開催されたイベントの参加者にのみ配布された後日談があります。私は参加したので入手しています。この作品がもっと多くの方に見てもらえて、いつかこの後日談が販売される、そんな日が来ることを私は心待ちにしています。
・ゆりかき!〜Vol.2 姉妹編〜
DLsite・サークル:ゆづみ荘
・公認性:公認
・自分の立場:姉
・相手との関係性:妹
・コメント:まやは姉妹百合が好きです。が、この作品の真価はASMRとしての希少性にあると思っています。
百合作品に限らず、ドライヤーの登場するASMR作品というのはあまり多くありません(男性向けの作品がほとんどであるためでしょうか)。それらも玉石混交で、ひどいものだと頭の上方でそれっぽい機械音が流れている(ように音声素材を合成している)だけではないか?と思わざるを得ないものもあるのですが、本作はおそらくきちんとドライヤーをバイノーラルマイクに当てています。その効果は絶大で、耳に直接風があたる部分では、風の熱を感じてしまうほどのリアリティがあります。ドライ・ブローのシーンを扱ったASMR作品としては、文字通り史上最高のものかもしれません。むしろ、この作品に感動してドライヤーを使ったASMR作品をあえて百合に限らずに探したのですが、ゆづみ荘のそれを超えるものがないと分かっただけでした。
ゆづみ荘は本作を最後に6年以上新作を出していないのですが、前作の『ゆりかき!〜先輩後輩編〜』も本作同様に素晴らしい作品で、私は今でもゆづみ荘の新作を待ち続けています。ではなぜ前作ではなくこちらを挙げたのかというと、本作のCVの藍月なくるさんは日本一ソフトウェアの百合ゲーム『こちら、母なる星より』で比企沙織役をされていて、その影響で本作を購入したことによります。あと姉妹百合が好きだから。こんな妹が欲しかった。
・ぐっすり眠れる耳かきボイスι
DLsite・サークル:チームランドセル
・公認性:公認
・自分の立場:妹・姉の唯一の家族
・相手との関係性:姉・唯一の家族
・コメント:両親を亡くして、ほとんど身寄りのない姉妹の、少し退廃的な物語。後述するチームランドセル作品の特徴ももちろん持ち合わせています。その時点で私の好みなのですが、こちらの作品も姉妹百合。しかも自分が妹です。ときに、私は姉妹百合音声作品を6つ持っていますが、その中で自分が妹であるものは本作しかありません。おそらくは、一人称視点作品においては視点人物に名前を設定することが難しい中で、姉という概念はそれに紐付く形式的な呼び名がいくつもある(当サイトのこちらのページ Introduction を参照)ので、視点人物よりも年下の存在を登場人物にする方が簡単だからでしょう。
でも私はお姉ちゃんが欲しかった。そのため、妹を視点人物にした本作は私の宝です。
・ないしょワンルーム 〜世話焼き妹と過ごす休日〜
DLsite・サークル:SukeraSono
・公認性:公認
・自分の立場:姉・ひとり暮らしの大学生
・相手との関係性:妹・恋人
・コメント:この作品は、開始時点で既に妹が恋人です。相手が妹なのですから、当然姉妹百合です。この作品は最後までありふれた休日の風景が続き、学校をサボるとか、相手がメイドだとか、そういった新鮮味のある体験というのはないのですが、それが姉妹であり恋人であるという関係性と調和していて本当に素晴らしいのです。この雰囲気の形成には、妹の茉依の性格も不可欠だと、私は確信しています。
私が初めて購入したSukeraSono作品です。それが姉妹百合だというのが、私という人間の性質をそれなりに象徴しているかもしれません。
・はじめてのサボタージュ 〜あなたのとなりで息をする〜
DLsite・サークル:SukeraSono
・公認性:公認
・自分の立場:高校生・クラス委員長
・相手との関係性:クラスメイト・元ヤンキー
・コメント:時折遠くに聞こえる学校のチャイムを無視しつつ、屋上で授業をサボるのは、その背徳感も含めてなんだか楽しい。隣に仲間がいればなおのこと。ほとんど関わりがなかったクラスメイトの彼女は、サボることに関しては私のセンパイで、余裕がある。だから玲といると安心するのかな。でも彼女に触れていくうちに、なんだか、ダメな姉、という感覚を覚えてしまったのかもしれない。また姉妹百合の話してる……。
でも、気分が落ち込んだ時に玲といると、嫌なことを忘れられる。私は玲がいないともうダメだ。……私は玲の寝息を聞くのが好き。
・番外編・森中花咲さんの女性向けASMR配信
YouTube・コメント:森中花咲さんのことは前から知っていましたが、この配信の存在を知った時、まず女性向けの配信をしてくれたことに驚きました。その後、実際にアーカイブを視聴して、その内容に驚きました。
というのは、ASMRとは本来的には耳への直接的な刺激音に限らないはずなのですが、特に最近では耳かきや耳吹き、少し性的な要素が入ると耳舐めなど、耳に直接刺激を与える類の音ばかり用いられるようになっています。分かりやすい快感なのでしょうが、あまりにもワンパターンすぎるとも感じます。
ですが、本作ではスキンケア・ヘアケアといった、「流行り」とは異なるシチュエーションで展開している上に、きちんと百合(という言葉は使っていませんが、作中の描写からそうであることは明らか)をしていて、感動と感激と感謝の念を同時に覚えました。
さらに、サムネイルにも「かわいいね。」と書いてあるように、ひたすらかわいいと私を肯定してくれます。こんなの好きになる。
サークルについて
以下は、あくまでまやの主観に基づいたいくつかのサークルへの印象です。サークル間の優劣を主張するものではありません。
SukeraSono
主に一人称百合作品を作っている(例外もあります)サークルで、今のところ全年齢作品のみを作っています。SukeraSono作品はバイノーラル録音ですが、ASMR作品ではありません。私が一人称百合と呼んでいるものを、SukeraSonoの用語では「百合体験」と呼んでいます。SukeraSparo、SukeraSomeroというブランドも用いていますが、扱っている作品の形式・対象が異なるものです。
最近では少なくなってきたと思いますが、音声作品に限らず同性愛を扱った作品(私の場合百合しか知りませんが)には、それがマイノリティであることによる罪悪感や葛藤などの表現が時折見られます。現実世界に根強い偏見があることはまた別の話として、そのような表現は、作品のテーマ、またはストーリー構成上必要な場合も確かにありますが、単に女性同士の恋愛を描くだけならば不要です。異性愛作品にはそんな葛藤は登場しないのに、百合にはこういった葛藤が必要だ、などと言われてはたまったものではありません。
私はSukeraSonoの全ての作品に触れた訳ではありませんが、SukeraSonoの作品は、開始時点で既に相手が恋人であるものがそれなりにあり、またどの作品も単に「百合っぽい」(Cute Girls Doing Cute Things)ものではなく、きちんと恋愛ものとして描いている一方で、上に述べたような葛藤は私の知る限り登場せず、当事者たちは基本的に同性同士の恋愛を当然のものとして扱っています。率直な感想として、そのような世界観に私は心地よさを感じます。
2024年1月現在、全年齢向けで最も活発に活動している百合音声サークルだと思われます。現在は21作品がリリースされていて、視点人物の設定にかなりの幅があることも特筆すべき点かもしれません。
チームランドセル
百合も非百合も、全年齢もR18も、一人称もドラマも扱っているサークルです。百合の定義、なるものについてここで議論することはしませんが、立場によっては百合に含まれないものも百合として扱っている、かなりごっちゃまぜのサークルです。Ci-enのプロフィールなどで百合を中心に扱っているとしていますが、最近は百合作品の発表は減少しているように思われます。
ゆったりしたBGMにのせられた、しっとりしたストーリーが際立ちます。BGMのないバージョンも収録されているので、好みや気分に合わせて好きな方を選べます。BGMのないものは一般的な一人称百合作品ですが、BGM付きのものを聞いていると病院にいるような気分になります。これは良い意味です。ストーリーは別として、そのBGMにのせられたささやきを聞いていると、暖かな病院の待合室か病室(といってもまやは病室のベッドに横たわった経験はありませんが)で看病されているような、しんみりしつつもおだやかな気分になれます。
聴取環境について
まやはASMR作品については、基本的にfinal E500(有線)、ag COTSUBU for ASMR(無線)で聴取しています。購入前の試聴などでApple AirPods Pro (第2世代)(無線)を用いることもあります。